株式会社リバネス運営ウェブサイトメディア開発事業部(担当:もう)|リバネスコーポレートサイト
病気になったときに飲む薬,プラスチック製品など,身の回りには有機化合物でできたものがたくさんあります。凹凸のあるおもちゃのブロックを組み合わせて,飛行機や車や家をかたち作るように,有機化合物同士をくっつけることで,これまでにない新たな物質をつくることができます。
この2 つの化合物をくっつける役割を果たすのが「触媒」なのです。2010 年10 月,「クロスカップリング」という技術が,ノーベル化学賞を受賞しました。パラジウムという金属を触媒に,効率よく有機化合物をくっつける画期的な方法だったのです。北海道大学の山本靖典さんは,これよりもさらに効率のよい方法を模索しています。
有機化合物がくっつくとき,「キラル体」と呼ばれる物質ができる場合があります。キラル体とは,右手と左手のように鏡に映したような関係になっている物質。とても似ていますが,からだの中に入ると片方は薬に,もう一方の物質は毒になってしまうなど,性質も働きもまったく異なることがあります。そこで,目的のキラル体だけをつくるために,「二座ホスホロアミダイト」を開発しました。これは,触媒と一緒に働くことで,化合物がもうひとつの化合物の骨組みである炭素原子にくっつく方向を,ただひとつに限定する役割を持っています。片方の面にしか凹凸をつくらないブロックだけにすることで,2 つのブロックの組み合わせ方は1通りになります。
目的のキラル体だけをつくることができるようになれば,薬や新素材の開発は大きく進むでしょう。身の回りの製品は,こうした「くっつける」研究の積み重ねで私たちの手元に届くのです。(文・内野 亜沙美)
取材協力:北海道大学
(someone vol.14より転載)