株式会社リバネス運営ウェブサイトメディア開発事業部(担当:もう)|リバネスコーポレートサイト
今やスマートフォンやタブレットPCに何百冊の本をデータとして保存できるようになり、画面を指でなぞると次のページに進むのも当たり前のことになりつつあります。しかし、本はやっぱりめくって読むもの。そう考えている人も多いのではないでしょうか?
1冊で何百冊を写しだす紙と電子データの良い所どりの魔法の本が、実現に向けて動きだしています。
ペラペラが良いんだよ!
魔法の本。これを実現する技術こそペラペラのディスプレイであるフレキシブルディスプレイです。ディスプレイとは、例えばテレビやパソコンの画面など、「画像を表示する装置」のこと。大まかには、色の点を作る装置と、どこにどのような色を配置するかを決めるための回路、そしてそれらをサンドイッチのように挟み、全体の構造をつくる基盤からできています。
今、主流のディスプレイは、回路部分にはシリコンが、基盤にはガラスが使われています。シリコンは電気を流しやすく、ガラスは透明度が高く、ともに加工がしやすい特徴を持ちますが、これらの物質は分子間の結合が強く、「固い」という性質も合わせて持っています。
それに対して、フレキシブルディスプレイはこれらに有機物を使っています。有機物とは炭素を骨格として他の分子を組み合わせた分子で、プラスチックやビニールなどに代表される物質です。分子間の結合が無機物よりも弱いため、柔らかい構造を作ることができます。しかし、金属のように自由電子を持たないため、電気を流しにくいのが課題でした。
1950年代には有機物でありながらアルカリ金属を含み、電気を流すことができるものも発表されていましたが、ディスプレイに使えるまでの性能になったのは約10年前。そして、ここ数年でようやく「有機EL」など、社会の中で使われるようになったのです。
魔法の本は、もうすぐ手元にやってくる?
来年には、フレキシブルディスプレイを搭載したスマートフォンが実用化される可能性がでてきました。このディスプレイのメリットは曲がるだけではありません。わずか0.2mmの薄さに、大きさ3インチ(縦約6.5cm×横約4.0cm)で重量3g(1円玉約3個分)と、これまででは考えられないくらい軽さ。さらにガラスを使っていないため、落としてしまっても割れる心配はありません。そんな夢のようなものが、有機溶媒に原料をインクとして溶かして、基板上に印刷するだけととても簡単につくれるようになってきたのです。
フレキシブルディスプレイは研究段階から実用化へ向けてやっと動きだした新しい技術です。魔法の本ができるのはもう少し先になると思いますが、いつか必ずあなただけの一冊ができるでしょう。
(文・勅使河原 直人)
<参考文献> すべて2011/11/23確認
ソニー株式会社 技術情報 有機トランジスタ
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/technology/technology/theme/organictransistor_01.html
日経エレクトロニクス 有機トランジスタ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060313/114697/
特許庁 標準技術情報 フレキシブル有機ELデバイス
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/electronicpaper/2-4.pdf
東北大学金属材料研究所News vol.65 研究最前線
http://www-lab.imr.tohoku.ac.jp/~pro/imr_news/pdf/imrnews65.pdf