理系エンタメマガジン ゆるりぃ

株式会社リバネス運営ウェブサイトメディア開発事業部(担当:もう)|リバネスコーポレートサイト

Top About Who?
Home > リバコミ! > General > 人間の病気をカエルで解き明かせ!

リバコミ!大学生が最新のサイエンスニュースをお届けします

リバコミ!ってなに?

リバコミ記事を毎週配信!メルマガ登録はこちら

人間の病気をカエルで解き明かせ!

  • (2010/09/03)
  • カテゴリー: General

みなさんは、臓器移植や再生医療という言葉を新聞やニュースで聞いたことがあるだろう。近年注目を集めている分野である。

 

では、そこに血液の話が密接に関係してくるのは知っているだろうか。

 

実は、骨髄移植後の合併症として起こる血小板減少症の治療や、再生医療の核となるあのES細胞を自由自在に使いこなすには、『造血因子』の存在なしには語れない。

では造血因子っていったいなんだろう。今回は、長年造血学領域を研究してきた、早稲田大学教育学部理学科生物学専修の加藤尚志教授に話を聞いた。

 

 

血液ってどこからやってくるの?
血液中には赤血球、白血球、血小板の三種類の血球が存在する。

これらの血球はどこで、どのようにして造られるのだろうか。実はこのしくみ、同じ工場の中でひとつの材料が異なる製造ラインを経て、製品が市場に出荷されるのとよく似ている。

 

哺乳類の場合、血球の生産場所は主に骨髄(骨の内部)である。骨髄には、血液以外に1000分の1の割合でごく微量に、造血幹細胞と呼ばれる『全ての源』が存在する。ここで、幹細胞と聞いてなにか気づかないだろうか。そう、再生医療でおなじみのES細胞のことである。

 

この幹細胞というものは、あらゆる細胞になれるという性質を持ち、すべてのスタート地点に位置する「受精卵」のようなものだ。その中でも造血幹細胞は血球になれる幹細胞を指す。つまり私たちが知っている血球は、この幹細胞が形を変えながら増えていき、骨髄から血液中へ移動したあとの最終的な姿なのである。

 

 

製造ラインの司令塔はだれ?
だが、いったいどうやって三種類の血球を造り分けているのだろうか。

ここで登場するのが今回のキーワード、造血因子である。たとえば赤血球はある時期になると、次の命令がないかぎり、幹細胞から赤血球になることはできないように出来ている。その命令を下しているのが、エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)と呼ばれる司令塔なのである。

EPOの指示があるから、赤血球は赤血球になれる。同じように、白血球が白血球になるためには、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)の命令が必要だし、血小板の場合はトロンボポエチン(Thrombopoietin:TPO)となる。
トロンボポエチンは更に造血幹細胞自体にも作用し、造血システムそのものをコントロールするという研究結果が出ている。

これは例えばES細胞から臓器を造るときに、ES細胞にどのような命令を下せば良いかを知るための、大変興味深い対象となる。

 

 

加藤教授とトロンボポエチンの二人三脚
そのトロンボポエチンを発見したのが、加藤さんである。長年、企業で未知の存在であったトロンボポエチンに着手し、10年以上も悪戦苦闘を続けてきた。そして90年代に入り、ついにその発見に至ったのである。これは、血液学の歴史に名を残すほどの大発見となった。その後加藤さんは、早稲田大学に移るまでの約10年間、基礎的な研究から医薬に直結するような臨床研究まで、隅々までトロンボポエチンに携わってきたのである。

 

 

発見研究のすばらしさを学生と共に
2003年に、加藤教授は研究の場を企業から大学へと移した。そう決意させたのは、トロンボポエチンの発見で味わった「発見研究-Discovery Research」の醍醐味を、次の世代に伝えたいという思いであった。

 

「発見するというのは、誰にでも与えられるチャンスである。わたしは、先端技術を技術として伝えたいのではなくて、それを使って発見研究出来る人材を育てたい」。


そのためにはまず、未踏の荒野を探さなければならない。ヒトやマウスの研究は歴史が長く、それだけデータベースも研究成果も多く出ている。だが、両生類の造血に関しては、ほとんど研究がなされていない状態だ。加藤教授はそこに目をつけた。

 

学生たちとゼロからのスタートを切るには、最適な研究対象であると確信したのである。

 

 

両生類の造血系はおもしろい
両生類に目をつけた理由はほかにもある。ヒトなどの哺乳類の造血系はすべて骨髄のなかで行われる。

つまり、血球が造られる場所も、造血因子が産出される場所も同じなのである。しかし両生類は違う。特にカエルの場合は、赤血球とEPOは同じ肝臓のなかで作られるし、血小板とTPOは脾臓だ。これを“臓器分業”していると言う。

 

つまり、哺乳類ではすべての作業を同じ工場で行っていたものが、カエルでは三つの工場に別々に分けて生産している状態なのだ。

 

一つの工場に一つの製造ラインしかないとすれば、そこの司令塔の命令は明確になってくる。ヒトでは分かりにくかった造血因子が働いている環境の条件を、カエルで決定することが出来るのである。

 

もう一つ、『個体発生は系統発生を繰り返す』という有名な言葉があるのを知っているだろうか。

これを造血因子に当てはめても同じことが言える。魚類や両生類から哺乳類まで辿れば、赤ちゃんが大人に成長するまでにどのような造血システムが構築されているのか解明出来ると考えられる。
つまり両生類は、まったく新しい視点で造血学を再構築することが出来る、その可能性を持ったダイヤモンドの原石でもあるのだ。



得意分野は伸ばさなきゃ!
驚くかもしれないが、血液学領域の発展に多くの日本人が寄与している。

「血液学の領域は日本が得意とするところだし、これからもそうあり続けてほしい」と加藤先生は言う。

 

前例のない両生類を使った造血の研究は、これから先も困難な道のりが予想される。

だが、カエルの持つディスカバリーの可能性と、加藤教授の意思を受け継ぐ学生たちのパワーは、心強い推進力となるであろう。

 

 

早稲田大学というステージで、日本の研究者たちが世界を常にリードしてきた血液学の分野のこれからを切り開いていく。

 

 

これほど強力なバックアップを持ち、かつ野心みなぎる発見研究ができる場所は、そう多くはないはずだ。

 

 

ヒトで研究されてきた造血学領域を振り返れば、一見回り道のように思えてくるこの研究も、実は近道となるのかもしれない。


hatena:はてなにブックマークされた数 | Buzzurl:Buzzurlにブックマークされた数

この記事はこんな人が書きました

著者名:リバネス記者クラブ
リバネス記者クラブ
ひとこと:
URL:
http://

(39575hit)クレオパトラの顔公開:ケンブリッジ大学

カテゴリ:海外ニュース 日付:12/18 著者:george
絶世の美女といえば、クレオパトラ。 歴史上、シーザーやアントニウスという勇者を次々に魅了してきた、そのクレオパトラの素顔を復元しようとするプロジェクトが、イギリスBBC放送で行われたようです。 このプロジェクトは、イギリスのケンブリッジ大学...

(16160hit)次回は26年後、 46年ぶりの皆既日食:国立天文台

カテゴリ:一般 日付:05/07 著者:ijichi
ニュースソース:国立天文台:2009年7月22日皆既日食の情報     この夏に、1963年7月21日の北海道東部で見られた皆既日食以来、実に46年ぶりで、次回も2035年9月2日の北陸・北関東などで見られる皆既日食まで26年間起こらない皆既日食が起こ...

(14017hit)2112年の太陽嵐で、世界大停電の予測!?:NASA

カテゴリ:一般 日付:04/30 著者:ijichi
ニュースソース:wired:強力な太陽嵐で2012年に大停電? 対抗策は   昔から人類は、太陽の恵みを受けて生きてきた。 偶然にも、本日快晴のなか田植えを行い、改めてその恵みを実感した。 参照:お米生活   ところが、その太陽が地球に降り...

(10602hit)ジュラシックパーク実現なるか!?

カテゴリ:一般 日付:11/04 著者:george
ニュースソース:時事通信 凍結マウスからクローン=「マンモス復活、可能性も」-16年保存、世界初・理研16年間冷凍保存していたマウスの死骸から、なんとクローンをつくることに成功したとのこと!これは大事件です!事件現場は、神戸にある理化学研究...

(10081hit)日食を見ると視力が低下する!?国立天文台

カテゴリ:一般 日付:07/01 著者:ijichi
ニュースソース:asahi.com:日食観測「黒い下敷き危険」 国立天文台が注意呼びかけ   今年は、すべての人が宇宙(そら)を見上げる年。 そう、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡で宇宙を覗いてから400年目の世界天文年であり、 国際宇宙ステーション...

受験生時代を振り返ってみた
Copyright 2009 リバネス.
All Rights Reserved.

株式会社リバネス

株式会社リバネス運営ウェブサイト

株式会社リバネス http://www.leaveanest.com/:東京都新宿区四谷2-11-6 VARCA四谷10階
お問い合わせ  »TEL 03-6277-8041  »FAX 03-6277-8042  »E-MAIL info@leaveanest.com

リバネス役員ブログ
リバネス丸幸弘( @yukihiromaru )の会社経営奮闘記
理系博士の奮戦記 博士の就職・起業・農業・農学研究 リバネス代表@shuichiro_lvns
リバネスCBO 佐野@sanotakuro のブログ
リバネス、ジョージ@geeorgey的、知識製造業
地方役員の楽しみ方 リバネスウエストエリア統括@ikkan_y
リバネス社員ブログ
世界をこの手に リバネス@yoshidatakumiのブログ
岡崎ブログ0823 from リバネス沖縄@okazakiKONKITSU
三十路からの「新」社会人生活 リバネス@ryutarigato
つぶやき by 旅人 of a road less traveled リバネス@k_tokue
気の向くままに Dog-ear をリバネス@SatokoISOGAI のブログ
リバネス @Yusukeshinozawa BLOG
変わってたっていいじゃないか!リバネス@s_kimura7120のブログ
研究キャリアライフ応援日記 リバネス@Kazuhiro_Hasega
四谷発、研究所行き リバネス@SAKASHIN
株式会社LDファクトリーのブログ fromリバネス
理系女子が綴る!理系キャリア日記 リバネス関東@mari_kanno
サイエンスで笑顔をつくる リバネス関西@ijichi
ベンチャーで働くも好(よし) リバネス@tachibanalvns
Road to 35000:科学教育で全国を盛り上げる リバネス@f_daigo
続・「博士号」の使い方 リバネス関西@t_ishizawa
思い立ったが吉日〔研究と社会を繋ぐ〕リバネス@nomumami
@tsukashu41 リバネス地域開発事業部長のブログ
100人の研究者と100の実験教室を作る リバネス@k_halu
ぶ~ぶ~生活:養豚場を作るサイエンティストの伝説 リバネス沖縄@fukusuke0310
リバネス先端研よりこんにちは!@takahaccのブログ
わたし、3人目です。リバネス@ryoko_lvnsの挑戦
日本で働いているシンガポール人の物語 リバネス@LNAnchan
ふくろぶろぐ @domeky リバネス
.@NaokoMatsubaraによるリバネスひよこから白鳥へのblog
リバネス関東 smaedalvnstのブログ
リバネスの冊子
中高生の為の科学冊子someone byリバネス
教育応援プロジェクト | 教育CSR・理科教育の活性化 byリバネス
若手研究者応援プロジェクトincu-be(インキュビー) byリバネス
日本の産学連携のリアルな現場伝えます:バイオガレージ byリバネス
地域活性化をサイエンスで支援するBeAGRI:ビー・アグリ byリバネス
研究者向けサービス
バイオ系研究サポートのバイオガレージ byリバネス
来たれ!エッジの効いた若手研究者!リバネス若手研究者応援プロジェクト
DNAシークエンスサービスバイオスターbyリバネス
リバネスのサービス
植物工場ラボ
福幸豚|食べたみんなが幸せになる豚
リバネスのオススメアイテムショップ
博士の哲学
サイコレ!〜リバネスサイエンスコレクション〜
自給自足ラボ:リバネス食料自給率200%プロジェクト
飲食店経営の処方箋:ソーシャルメディアを使い倒せ
リバネスの参加型サービス
リバネスのロボット教室@秋葉原ロボ研
EduCafe.jp-サイエンスカフェをサイエンティストが企画する-by リバネス
リバネスの飲食店
リバネスカフェ&ダイニング
東京ワイン酒場アゲマキ三軒茶屋
梅酒ダイニング明星@飯田橋
コラボレーションプロジェクト
サブウェイ野菜ラボ
鈴廣さかなラボ:身近なさかなをもっと楽しむ!
ビルベリーをスウェーデンから:ファーベリー