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太陽の光が降り注ぐこの季節,
草木たちはこれでもかとたくさんの葉を茂らせています。丸いものや細長いものなどさまざまなかたちがある中、ギザギザした葉を見つけたことはありませんか。
鋸歯(きょし)とよばれるこのギザギザの形成には、CUC(クック)と呼ばれる遺伝子の働きが関わっていると考えられてきました。シロイヌナズナという植物で,CUC遺伝子に異常が起きると,葉の縁<ふち>がなめらかになったからです。
しかし,東京大学の塚谷裕一さんは,CUCが葉の縁に切れ込みを入れるという考えに疑問を感じていました。
そこで,正常な葉と異常が起きた葉の大きさを比較してみました。もし,切れ込みができて葉の鋸歯がつくられるのなら,2つの葉の大きさは変わらないはずですが,実際は縁がなめらかな葉の方が小さかったのです。
この発見をきっかけにして,研究が大きく進みました。葉がつくられるとき,その縁には細胞増殖を促すオーキシンという物質がつくられますが,放っておくと拡散してやがて均一になってしまいます。ですが,CUCが葉の縁のとがらせたい部分の両端でのみ働くことにより,オーキシンは拡散せず,その部分にとどめられます。するとその部分は,細胞増殖が促されて盛り上がり,鋸歯のとがった部分となります。

つまり,CUCは葉の縁に切れ込みを入れるのではなく,「オーキシンの流動を防いで細胞増殖を促す」ことで鋸歯をつくっていたのでした。
何気ない景色の中に,葉の鋸歯のような精巧なしくみがいくつもあります。普段目にするものごとの中に,新たな発見につながりそうな種を探してみるのもおもしろいかもしれませんね。(文・林 慧太)