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こんにちは!りょうこ博士です。
かがくじゃーなるくらぶ、今週も始めます!
部員の皆さん、世界最先端で最新の面白い論文を一緒に読んでみましょう。
今回選んだ論文は、『Nature』の6月3日号に掲載された論文です。
さて今週の論文は、
タイトル: Experimentally assessing the relative importance of predation and competition as agents of selection
(選択の作用因子としての捕食と競争の相対的な重要性の実験的評価)
著者: Ryan Calsbeek & Robert M. Cox
概要: Field experiments that measure natural selection in response to manipulations of the selective regime are extremely rare, even in systems where the ecological basis of adaptation has been studied extensively. The adaptive radiation of Caribbean Anolis lizards has been studied for decades, leading to precise predictions about the influence of alternative agents of selection in the wild. Here we present experimental evidence for the relative importance of two putative agents of selection in shaping the adaptive landscape for a classic island radiation. We manipulated whole-island populations of the brown anole lizard, Anolis sagrei, to measure the relative importance of predation versus competition as agents of natural selection. We excluded or included bird and snake predators across six islands that ranged from low to high population densities of lizards, then measured subsequent differences in behaviour and natural selection in each population. Predators altered the lizards’ perching behaviour and increased mortality, but predation treatments did not alter selection on phenotypic traits. By contrast, experimentally increasing population density dramatically increased the strength of viability selection favouring large body size, long relative limb length and high running stamina. Our results from A. sagrei are consistent with the hypothesis that intraspecific competition is more important than predation in shaping the selective landscape for traits central to the adaptive radiation of Anolis ecomorphs.
私たちは、大人になるとたいてい140~190cmの身長になりますが、どうしてそれ以上でもそれ以下でもないのでしょうか?
同様に他の生物に関しても、同じことが言えます。
例えば大人のカラスはどうしてあの程度の大きさなのか、彼らのくちばしはどうしてあんなに大きいのか、どうして全身黒いのかなど、不思議に思ったことはありませんか?
今地球上にいる生物は、長い進化の過程でそれぞれの生物集団の形質が変化して、現在ある形質に落ち着いていると考えられます。
それでは生物はどのようにして形質を変化させるのでしょうか。例えばカラスで考えてみると、次のような3つの要素がある場合にカラスの形質が変化すると考えられます。
1. カラスの集団の中の一部に、くちばしの大きいカラスや体の小さなカラス、羽が一部分だけ白いなど様々な違いを持った個体が生まれる
2. 羽が一部分だけ白いという変化は子供に遺伝する
3. 羽が一部分だけ白いということが、その時の周囲の環境や状況に好都合に働き、自分の生存確率が上がったり、子供をたくさん残せたりする
以上の要素が3つ揃った場合、生物集団としてのカラスの形質が変化して、カラスの羽は一部分だけ白くなると考えられます。(例えばの話ですよ!実際には一部白くなるという性質の変化はおこっていません。)
そして、この3つ目に関することですが、偶然におこる確率の範囲を超えて一部分だけ白い羽のカラスが集団の中に存在するようになった場合に、「自然選択が起こった」と言います。
さて今回の論文では、アノールトカゲを使って、自然選択を実験で検証しています。
著者たちは、もともとアノールトカゲの住んでいないカリブ海の6つの小さな島に、他の島で捕獲したアノールトカゲをそれぞれ40匹(または80匹)放し、ある島では鳥やヘビといった捕食者も一緒に放して、数か月後にアノールトカゲの体のサイズや足の長さを測定するという、まれにみる大規模な実験をしました。
アノールトカゲは、トカゲ同士の競争、そして天敵からの捕食というふたつの作用によって、体のサイズや肢の長さが変化することが正確に予測されている、非常にまれな生物です。
実験結果によると、このふたつの要因のうち、捕食者の有無よりも個体の密度が増大することのほうが、アノールトカゲの体のサイズはより大きくなり、足の長さも長くなることが分かったのです。
つまりアノールトカゲは、捕食者から食べられるのを回避するために体を変化させるよりも、自分の子孫を残すために、種内の競争に勝ち残る方法として体を大きくし戦いに強くなり、足を長くして速く走れるようになるほうを選択しやすいということです。
やはり、どの生き物も自分の子孫を残すことが最重要ってことですかね?
またこの論文は、自然選択という現象を実験によって観察することができるという事を実証した価値ある論文だと思います。
このような大規模な実験を行って結果を出すことは、並大抵のことではありません!
研究者たちの根気強さと熱意は、すごいですね。
今週は、進化の論文を選んでみましたが、いかがでしたか?
私達が現在の姿を獲得するまでの長い歴史を考えさせられる壮大な世界でしたね。
次回も、部員の皆さんが新しい世界に出会えるような論文を探して紹介したいと思います。
また来週。
りょうこ博士と一緒に、最新科学論文に出会いましょう!