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シャープペンシルを使っていると、芯の先がどんどん丸くなって筆跡が太くなっていく。これを「偏減り」という。そうなると、芯を折ってもう一回出す ぐらいしか対策がない。しかもその芯が、隣の席に座るひとのノートに飛んだりすると、若干気まずかったり。そんなシャーペン生活とも、ついにさよならする 日がやってきた。
精密な計算で作られた技術の結晶
シャー ペンは大きくわけて3つのパーツに分けることが出来る。1.芯を出す「口金」、2.本体である「胴軸」、3.芯を出すための「ノックキャップ」だ。
一番気 になるのは、やはり口金。ペン回し用の改造では金属チップを重りのように装着し、回しやすさを向上させるために使用されることも多い。ここには、芯をしっ かりキャッチするための「チャック」がついている。ノックキャップを1回押すと、胴軸が上下に動いて、1回分の芯(約0.5~1mm)が口金側に送り出さ れる。
ノックキャップを押している間は、チャックは緩んだままである。なぜ芯は落ちないのだろう。実は、口金の先にあるゴム製のパーツに秘密が隠されてい る。設計された摩擦係数をもち、芯がストンと落ちないよう弁の役割を果たしているのだ。ノックキャップを戻すと今度はチャックが閉まり、芯は固定される仕 組みになっている。
シャーペンにギアをつける
これまでシャーペンは、使い続けると芯が偏減りしていた。筆跡にムラが出る、芯のカドが紙にひっかかりやすく、折れやすいなどの問題があった。偏減りをなくすためには、芯先の「偏り」をなくせばいい。
三菱鉛筆株式会社の開発チームは、文字を書くときの「筆圧」に注目。文字を書くときには、斜め上(理想は45度)から力が加わる。

[図:働く現場シリーズ THE職業選択の自由より転載]
そこで、口金と胴軸の間にあるオレンジ色の部品に、3つのギアを持つギアシステムを内蔵。筆圧をかけると、芯に連結された中ギアが上下に動くように なっている。その動きに連動して上下のギアと「斜め」に噛みあうことで、中ギアと芯が少しずつ回転するのだ。
スペック上、1画書くたびに真中のギアと芯が 9度回転し、40画で1周するように設計されている。
開発で一番苦労したのは、実はギアの“歯数”。芯の上下運動を最小限に抑えつつ、滑らかな書き味を実 現するのは難しかったという。そして、ギアシステムの開発から発売まで実に数年かかったそうだ。
一回縦に加わる筆圧を、ギアどうしの噛み合わせという横回 転の力に変える、という新しい発想と緻密な構造設計が、「クルトガ」には詰まっている。
